仕組み

ダブルチェックには落とし穴がある!?それを克服して利益貢献する2つのポイントとは?

雪の結晶(ピンク)

ダブルチェックとは複数の関門を通過させて、問題がない事を確認する方法で す。

複数の関門を通過させますので費用が掛かります。会社や組織としてできれば避けたい方法ですよね。

一方で、患者さんに投薬する薬に間違いがない事を確認するといった医療現場や、航空機の整備に問題がない事を確認するといった航空現場など、命に係わる現場などでは用いられることが多いです。

他には、お客様の要求品質に対して、自社の品質レベルが追い付いていない場合などは、検査レベルを上げるために実施されることもあるかもしれません。

しかし、ダブルチェックを実施しているのにお客様からのクレームが止まらない!!といったことが起こっていてお困りになっていることがありませんか?

今回は、ダブルチェックに潜む落とし穴とその問題を解決するための対策を事例を交えながらご紹介してまいります。

■ダブルチェックしているのにクレーム止まらない!

とある樹脂加工メーカーさんの事例です。

携帯電話のキー部分の部品を受注生産されておりました。

この部材は外観に厳しく、通常の人の目では見得ないような汚れなどもNGとされるレベル。

このメーカーさんも品質を上げようと、クリーンルーム化を図ってクリーン度をupさせたりと投資を試みたのですが、それでも目指すレベルには到達できず、止むを得ず検査のレベル上げる決断と。

先ずは、拡大鏡を使っての検査を実施。この方法で幾分かはレベルアップできたのですが、まだ5%ほどの流出が認めらるとの事。

そこで、ダブルチェック(2回検査する)ことに踏み切られたのでした。

それで流出はおさまるだろうと考えていたのに止まらない・・・

どうしたら良いのか・・・とご相談に見えました。

■単に2回検査しているだけでは止まらない!!

そこで状況を把握しようと検査の現場に伺いました。

確かに2回の検査を実施してダブルチェックされていました。

そのやり方は、1人の検査員が先ず1回検査を実施する、そして続けざまにもう1回検査をするという方法でした。

こんなに工数もかけて丁寧に見ているのに止まらないは不思議ですよねーと苦笑いされるメーカーの管理責任者さん。

同じ検査員が続けざまに2回検査する方式は、単に2回検査するということにしかすぎず、流出を止めるためのレベルアップにはなっていません!!  ときっぱりと断言しました。

これには驚かれたご様子でしたが、これって1回よりは2回検査した方がレベルが上がるだろうという、安易な方法と言わざるを得ません。

ダブルチェックは有効ではあるのですが、有効に機能させるためには、それなりの仕掛けをしなければなりません。

■仕掛けるために知っておきたいこと

今回のポイントは、同じ人が同じものを続けざまに2回検査をしている点です。

同じ人が検査をすると、1回目に発見できなかったであろう不具合を2回目で発見することは先ず難しいでしょう。

それは、1回目には見えていなかったので、たぶん大丈夫だろうという安心感が生まれるからです。

そして、時間をおかずに2回目にはいるわけですから、その安心感は残っているでしょう。

ですので、レベルが上がることがなかったわけです。

■2つのポイントと克服の方法は?

今回の問題点(ポイント)は2つです。

  1. 同じ人が検査をする
  2. 続けざまに検査をする

1の問題を解決するためには、検査員の増員を考えたいところですが、検査員は限られている状況でした。

そこで、2をベースにおいて解決する仕掛け(方法)を考えることにしました。

提案した方法は2つ。

  1. 1回目の検査と2回目の検査の間で時間を空ける
  2. 1回目の検査と2回目の検査で項目を分ける

1の目的は、時間を空けることで安心感を無くして冷静に検査を実施頂くこと

2の目的は、項目を分けて検査そのものの精度を上げて頂くこと

どちらが良い方法なのかはやってみないと分かりませんでしたので、どちらも採用してみようとなりました。

最初1の方法でスタートしました。以前よりも格段に流出が止まったようです。

そうですよね。

5%の流出レベルの検査をしっかり2回実施できるようになったわけですから、単純に5%×5%=0.25%に精度アップしている計算ですが、実際にはここまではアップせず、1%ほどであったようでした。

この方法でしばらく推移させていたのですが、もう一歩検査レベルを上げたいと お考えになり、現在は2の方法で検査対応をされています。

この方法ですと、全体で5%の流出レベルであったが、まったくクレームが来なくなったとのこと。

検査レベルも0.3%(人がミスをするレベル)までに上 がったご様子で喜ばらておりました。

■まとめ

いかがでしたでしょうか。

ダブルチェックも、これをやっている、或は次の人が見てくれるからという安心感がある、忙しさにかまけてやっているだけだと機能しません。

こういった問題を解消するために、①時間差を設ける、②役割分担をする、という2つの方法を採用するとうまく機能します。今回もこれらを採用しました。

さぁーあなたの会社や組織でもダブルチェックの在り方を見直して利益貢献しましょう!