ヒューマンエラー対応

ベテラン社員のヒューマンエラーに潜む2つの落とし穴とは??そしてこれを解決する方法とは?

雪の結晶(黄)

不思議ですよね。

ベテラン社員がミスをするのは。

人は1000回のうち3回はミスをする生き物と言われていますので、その観点からすれば当たり前と言えます。

しかし、ベテランなのにこんなミスをするの??といった、想定外のミスをする出来事がありませんか。

それは、ベテラン社員だからこそ陥りやすい落とし穴がヒューマンエラーの引き金になっているのです。

では、その落とし穴とはどういったものなのか。

そして、それを解決するためにはどうすればよいのか??

事例を交えながらお話ししてまいりましょう。

ヒューマンエラーに関するコラムを書いています。こちらも是非お読みください。

■こんな事例ありませんか。

印刷会社さんでの事例です。

作業歴13年のベテラン社員さん(仮にYさんとしましょう)で、昨年から現場監督者に昇格されました。

それまでは、作業歴20年の大先輩を筆頭に、Yさんは大先輩の右腕となり頑張ってきてましたが、世代交代を迎え昨年から皆の期待を一身に現場監督者となったわけです。

そんなYさんでしたので、皆も心配無用とばかりに期待大の状態でしたが、現場監督者に昇格してからは、ちょくちょくとミスが目立つようになってきました。

ちょっとしたことですと、監督者が確認して捺印する必要がある書類に捺印を忘 れるといったものや、営業からの伝達事項を伝える際に、その内容に漏れがあったり・・・

このあたりの話しならまだ挽回もできるのですが、以前から生産していた製品なのに、なぜか検査漏れがあったというトラブルはさすがに驚かれた様子。

それも、1件や2件の話しではなく、たびたび発生するとのこと。

監督者のYさんも注意深く作業はしているのになぜだろうといったご様子、困り果てた管理責任者さんが私のところに相談に見えたのでした。

■意外に根深い2つの落とし穴

ベテランなら何でも知っているのでミスはしないはず、そう考えていませんか?

そうお聞きすると、そりゃーそうですよ!何せ経験も知識も豊富なのだから。

それ・・・

失礼ですが、思い込みではないでしょうか?

本当にYさんが経験されたこと、知識としてお持ちになっていることを、ご理解されていますか?

そう聞くと、ちょっと困った顔になりました。

そうなのです。

感覚的にしか理解されていなかったのです。

13年も現場で作業していたのだから、全ての商材について理解しているだろう13年も現場で作業していたのだから、全ての機械や作業について理解している だろう

すべて「だろう」だったのです。

これが1つ目の落とし穴「管理者側の思い込み」

もう一つの思い込みがあるのですが何かお分かりでしょうか?

それはYさん自身も、自分は大丈夫、理解をしていると思い込んでいる点です。

これもベテランに多い現象です。

確かにあらゆる作業を経験してきたことだとは思いますが、すべて自分が主導権をもってやっていたわけではないと思います。

主導権を持っていなかったとしても、実際に経験をしていたら、それはスキルとして発揮できるのでしょうが、別の作業者がやっていたことを見て聞いていた知識から、自分の経験と重ね合わせて見よう見まねで作業をこなしていることが、意外に多かったにするのです。

見よう見まねは、単に見ただけにしかすぎません。

さらに、そこには自分の経験で判断するという主観が混じっていますので、本当に押さえておかなければならないポイントが欠落していることが多いのです。

見よう見まねで理解したと思い込んでいる2つ目の落とし穴:「本人側の思い込み」

この2つの思い込みによる落とし穴が今回のヒューマンエラーを引き起こしているのです。

■作業者と一緒にスキルマップを作成する

では、この思い込みをなくすためにはどうしたら良いのか。

監督者であっても持ち備えている経験やスキルには限りがあります。

そのスキルを明確にすることです。

スキルマップを使って、この作業はできる、この作業は実際に経験がない、などとYさんと一緒にスキルの棚卸をし、足りないと思う部分は教育・訓練を実施していくのです。

監督者になったら教育訓練は不要ということはありません。

監督者として知ってもらいたい知識であったり、現場全体を運営するために必要な製品知識であったりと、現場が円滑に動くためには絶対に必要なのです。

ここで注意してほしいのは、このスキルを明確にするときに、管理者だけで実施をしないことです。

管理者がこうあってほしいという思いもあると思いますが、監督者のYさんもこうありたい、こうなりたい、これを知りたいという思いがあるはずです。

その思いを共有した上でマップにすることが大切です。

特にベテランですので、誇り(プライド)があると思います。そこをくすぐるような対応が大切になってきます。

そうすることで互いの信頼関係も深まります。

今回の事例を通じて、Yさんと管理責任者さんのきずなもさらに強固になったようで、未経験の作業が入ってきたときは、自分から管理者に対して、経験のある後輩社員の下について勉強させてくれ、という申し出も頻繁に上がるようになっ てきたとのこと。

これを通じて、後輩社員もYさんに対して更に信頼を置くようになり、よく相談している姿を見返るとのこと。

■知らないが言える職場に!

ベテランだから知っているだろう、知っていて当然という風潮が今回のトラブル の発端に有ったのかもしれません。

この話をきっかけにスキルマップの作成は作業者と一緒に行うようになったようです。

知らないことを素直に知らない、だから教えてほしい、と言える職場環境を作っていくことがベテラン社員のヒューマンエラーを撲滅するカギにもなります。 そして、それが職場の活性化にもなります。

思い込みをなくして知らないが言える職場にしましょう。

そして、ヒューマンエラーを撲滅して利益貢献しましょう!