5S活動を通じて達成させようとする目的は何か?
品質改善や生産性の向上です。
では、これらを達成させようとしたときに大切な切り口は何かというと…
「ムダの徹底的な排除」
なのです。
そこで、5Sの第一歩である整理とムダを切り口とした実践内容をご紹介いたします。
目次
■ムダには7つあります。
7つのムダについて簡単に説明させてください。
1、作りすぎのムダ
仕事の進み過ぎ、余分な人員、設備増設で材料先食い、倉庫の拡大など
2、 在庫のムダ
資材の買い過ぎ、中間品の滞留、製品在庫増、長期在庫で劣化、倉庫費増など
3、手待ちのムダ
自働化機械で見てるだけ、機械故障で作業できない、材料待ちなど
4、運搬のムダ
必要以上の運搬距離、維持的な仮置き、積み替えや移動などの二度手間など
5、仕事そのもののムダ
作業状態が不安定、作業者が未熟で最適速度で作業できないなど
6、動作のムダ
歩行や材料・治具などの取り置き、ムリな姿勢や判断間違いによるロスなど
7、不良を作るムダ
不良発生による材料・工数のムダ、手直しや作り直しなど
整理との関連が深いムダは「動作のムダ」なんです。
そこで、整理と動作のムダとの関連性について深堀をしたいと思います。
■和食の板前さんの動きにはムダが無い!
スムーズに流れるような作業は美しく、見ている側もうっとりします。
無形世界遺産の和食、板前さんの作業姿って本当に惚れ惚れしますし、ずっと見ていても飽きません。
流れるような手さばき、研ぎ澄まされた動作、そして繰り広げられる料理の数々・・・
そうです!ムダな動作が無く、本当に美しいですよね。
これを素人が真似をしようとしても無理な話です。
この美しい動作の裏側には何が隠されているのか。
必要な道具が必要な場所に置いているので、バタバタと動き回ることがない
必要な道具が丁寧に手入れされているので、スムーズに作業ができる
板の上はには必要以上のものが置いてないので、いつもきれい
ごく一部の作業動作しか切り出していませんが・・・
どうも、次の動きを考えられていて、そのための配慮や工夫がされていることが伺えます。。
その配慮や工夫とはどういったものなのか?
それは必要なものしかない、置いていないという点です。
これは5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)のうち、整理が完ぺきにできているということです。
整理が完ぺきだと仕事も完ぺきにできる、すなわち品質改善につながるのです。
では、この整理について事例を交えながら深堀しましょう。
■整理の定義を明確にしましょう
改めて整理を定義させてください。
整理とは
「要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てること」
「要る要らないに分けること」というのは。みんな知っているのですが、
「要らないものを捨てる」、この「捨てる」という概念がポイントなのです。
なぜ捨てるがポイントなのか?
要らないものが残っていると、これについても対応していく必要が出てきますよね。
いつ使うのかも分からないのに・・・
これは困った話でありムダになります。
では、要る要らないをどうやって分けるのか?
この判断、以外に困るんですよね。
ちょとした事例を交えながら見ていきましょう。
■ 未来に束縛されているから捨てることができない!
こんなことお宅でありませんか。
- 今年は着なかったTシャツ、でもお気に入りで買ったので置いておこう
- 溢れんばかりの食器棚、たまに使うお客様用、いつも使うのは決まった食器
- 3足500円で買った靴下、結局履いているは1足だけ
- 古本で満杯の書籍棚、いつか読むかもしれないと新しく棚を買い足す
こんなこと職場でありませんか
- データ配信されてきた議事録をプリントアウトしてファイリングする
- 仕入先から提示された検査成績書、一度も見ることなくファイリングする
- 別の部署でも保管されている書類をこちらの部署でも念のため保管している
- 1種類の工具あれば足りるのに使うかもしれないとセットの工具がある
いかがでしょうか。
心当たりがあるのではないでしょうか。
これは勿体ない、使うかもしれない、といった未来に束縛されている結果です。
過去使わなかったのになぜ未来は使う可能性があるのでしょうか・・・
まぁ、気持ちは分からないことはないのですが、ここはドライに考えてみる必要があります。
■2つの切り口で捨てることができる!
大きく2つの切り口を設けると、要るものだけに絞り込まれます。。
- いつ使うのモノかを明確にする
- どうしても捨てられないときは一旦不要なものとする
★いつ使うのかを明確にする
これは使うタイミングで絞り込む方法です。
4つの切り口で行います。
先ず使わない
これは捨てましょう。
それでも捨てることに勇気が出ない、できないなら、赤札置場という場所を作って、そこに置きましょう。
すぐに捨てることにならないのでちょっとした安心感にもなります。ただし、一定期間が過ぎれば捨てます。
赤札については後程詳しく説明します。
年に1度や一定期間使う
これは、そばに置いておく必要はないですよね。でも使います。
そこで、置場を遠くにするという方法をとります。
年に2度以上や不定期に使う
これは遠くに置く方法も良いですし、職場内でまとめて置いてバラバラにならない、すぐに探し出せるようにしておきましょう。
週に一度異常は使う
これは頻度が高く絶対必要なものです。そばに置いたり身に付けたりすることでより近くに置きましょう。
★どうしても捨てることができない時は一旦不要にする
これは取り置きするということとは全く違う考え方です。
どういうことか?
いつまで取り置きするのかを決めて、その期間使わなったときは迷わず絶対に捨てるというルールを設けるところがポイントです。
●ルールの一例
見直したところ、1年以上使われていなかったので一旦取り置きする、
その後1か月/3か月/半年の時間がたっても使わなれかったら処分!
モノによってその後…の時間の設定は異なると思いますので、ものに合わせて設定されても良いと思います。
もし、そのあたりに迷いがある場合は、思い切って1か月に設定するのが良いと思います。
実は私も迷いましたので、思い切って1か月にしました。
そして、その期間が経過しても使用しなかったら、その時は迷わず処分しましょう!
■赤札作戦で絞り込みを!
その期間を明確にするために「赤札」というものを使います。
モノの名称、保管開始日・保管終了日を赤色の紙に明記し、赤札品を置くための場所を設置して、そこにまとめておきます。
赤い紙に書くので「赤札」と呼びます。赤色だと目立ちますし、何より悪い気持ちになりますよね。
もし、札を付けた後に使用することになれば札を取ります。設定した期間まで札が付いてたら処分します。
これを赤札作戦と言います。
これ、簡単ですがド真剣に取り組まないと結局捨てることができずに終わることになります。
やり遂げて板前さんのような仕事ぶりに変貌させる!というド真剣な思いをもって取り組んでくださいね。
■3つの実践でど真剣に取り組む
先ほどお話ししましたが、赤札作戦をド真剣に取り組めば、要るモノだけに絞り込むことができ、モノを探したり不必要に管理するといったムダはなくなります。
そうなると、板前さんのような流れような惚れ惚れするような作業が実現できます。
ド真剣に取り組むとはこの3つを実践することです
- 目的を明確に持つ(何のために整理を実践するのか明確にする)
- 目的からぶれない(整理をすることが目的ではない)
- やると決めたことは最後までやりきる(あきらめない)
成功の反対はあきらめることです。
諦めず、目的を明確に持ってぶれずに取り組めば、必ず成功します。
さぁー貴方の会社や組織でも、ど真剣に整理に取り組み品質改善しましょう!