仕組み

異常管理をハードとソフトの両側面から見直して利益貢献しましょう!

雪の結晶(ピンク)

異常管理は有効です。

しかし・・・

それを理解して導入しているが、どうもうまく機能しない・・・

理解しているけど、どのように活用してよいのか分からない・・・

などと悩んでいませんか。

そこで、事例を交えながら異常管理の見直しのポイントについてお話し致します。


■事例紹介


とある印刷メーカーでの事例です。

事例1
先日、工程内において大量の印刷不良を発生させた。この商品は短納期であっため予定どおりに出荷できず、お客様にご迷惑をかけた。
状況を確認したところ、作業者が異常に気付くことができず上長に報告せず、そのまま生産が続いてしまったとのこと。

対策として、作業者が異常時に報告することを徹底する。そのために、あらゆる異常をも見逃さないように異常の項目を事細かく定義し、作業標準書を作成、それを使って作業者に理解させた。とのこと。

しばらく経過したときに、また大量の印刷不良を発生させる事態となった。
異常の定義を作業標準書に明確していたところの発生で管理者含め管理責任者も困惑する状況に至った。
事例2
使用する材料に異物が混入している異常を作業者が発見したが、当時、上司は会議で忙しく対処できる状況ではなかった。更に、納期が迫っていた商品と作業者は聞いていたので、納期優先で作業を実施した。その結果、異物混入の不良を大量に発生させるに至った。

■問題点は3つ!!


1.異常の項目が多すぎるので分かりにくい

事例1で作成した異常の定義を確認させてもらったところ、なんと23項目にも及ぶ内容でした。

これは異常の定義を明確にしたことで再発防止できると、完全に管理者が勘違いしている典型です。

この定義、或いは作業標準書は現場で使えるものと言えるのでしょうか。

作業者が異常の項目を全て覚えていたら意識することができて、異常時の対処:「止める・呼ぶ・待つ」が実施できます。

しかし、こんなに数多い項目になりますと、これは神業、すべて覚えることなんて到底できません。

「作業標準書に書いてあるので覚える必要はなく、異常を感知したときに見れば良いじゃないか」という考え方もありますが、そもそも異常を感知できないので、作業標準書を見ることはまず無いに等しいのです。


2.定義そのものが分かりにくい

作業標準書の様式には限りがある為、そこにすべてを盛り込もうと意気込むことがあります。

その結果、異常の定義を簡単に書く必要があり、逆に意味が分かりにくくなっていることもあります。

作業者に聞いたところ、

「簡単に書かれ過ぎていてよく分からない」

「文字が小さすぎて読みにくく読み気になれない」

といった声が挙がりました。

更に、現場の作業・プロセスとマッチしていないので対応ができないという声もありました。


3.異常の報告ができる雰囲気でない

「作業者が異常を発見しても、上長が忙しそうなので報告できない」

「報告したら上長に怒られる」

「この商品、確か短納期だったのうで納期優先で品質は後回し」

などと感じていたら、作業標準書を立派に作成しても、異常の報告は上がってきません。


■対策はハードとソフトの両側面で!


1.定義はシンプルに(ハード)

全てを盛り込んでおきたい気持ちは分かりますが、それは実態に即していません。

現場の作業・プロセスの在り方を考えたときに、そのプロセスにあった項目、そして本当に必要な項目ノだけに絞って具体的に作業標準書に記載する事が大切です。

異常の定義「いつもと違う状態」を基本ベースに本当に必要な項目だけを具体的にし、先ずは異常を確実に感知させることを考えます。

そうすることで異常に対する感度が上がりますので、他の異常に対しても気づけるようになります。


2.報告ができる雰囲気作りを(ソフト)

これは管理者が率先して動く必要があります。

異常を発見して止めることは間違いではないことを作業者に認識してもらう必要があります。

遠慮や躊躇させる雰囲気を出しているのは管理者です。

その為には、管理者は現場に足を運び現場の実態を肌で感じる必要があります。

それだけでなく、現場で作業している作業者に対して声をかけることも大切です。

単に挨拶するだけでなく、作業をしていることに対してのアドバイスや、改善をしたことに対しての効果の確認をするといった評価を現場でするなど、目線を作業者に合せて話をすることが重要です。

そして、作業者が提案してきたことや訴えてきたことには絶対に耳を傾け、その話を受け入れ認める(ウミの実施)ことで、作業者は意見することは大丈夫なのだと安心します。

このように地道に作業者目線で接することで、作業者の自律性が促されてきます。


■まとめ


この様に作業者が異常を確実に発見して報告できるようにするためには、異常定義をシンプルにするといったハード、報告できる雰囲気を作るといったソフトの両側面の対策が大切です。

さぁー貴方も異常管理をハード面とソフト面から見直しをして利益貢献しましょう!