仕組み

製造管理者必見!異常管理で不良低減を実現するための3つのポイントとは?

雪の結晶(ピンク)

異常とは??

  • 正常でない事
  • いつもとちがう状況が生じていること

異常管理とは

  • 「止める・呼ぶ・待つ」を確実に実行するための仕組みを構築し運用すること

そんなことは分かっているけど・・・

では異常管理の目的は??

ここで思考がストップしませんか??

何のために異常管理をするのかが明確でなければ、いくら素晴らしい仕組みを構築したとしても絵に描いた餅です。

そこで、3異常管理を通じて不良低減を実現するための3つのポイントをご紹介いたします。

■ポイント1:異常管理の目的を明確にすることが出発点

異常管理を有効に機能させるためには、異常管理の目的を明確にする必要があります。

これは絶対です!

いくら異常管理の仕組みが立派でも、何のために実行するのかが分からなければ、間違いなく実行するに至りません。

それは、地図を持っているのに行き先が分からないといった状態と同じです。

迷子にならないように、何のために異常管理をするのかを明確にしましょう。

そこで今回は「不良低減」を目的に異常管理を考えることをお勧めいたします。

どうして異常管理の目的が不良低減なのか。不良低減を実行する方向は2つあります。

先ず大切なのは不良とは何かです。

不良とは正常なものではなく、お客様にご迷惑をかけるモノやサービス

これってつまり、異常ですよね。

不良は異常の1つと考えることができますので異常管理が可能です。

よって、不良低減が異常管理の目的であっても全く問題ないのです。

■ポイント2:現場の声を反映させて不良流出・発生を抑える

不良には2つの側面があります。

  1. 不良を流出させないようにする
  2. 不良を発生させないようにする

それぞれを分解して考えてみましょう。

1、流出について

お客様や次の工程に不良を流出させないようにするためには、まずその不良(異常)に気づくことができなければ話になりません。

気づくためにはどうしたらよいのか??

不良(異常)とは何かを明確にし、それを発見するための環境を整備する必要があります。

不良とは何かを明確にするには、このような方法があります。

  • 不良項目を洗い出す
  • 項目ごとに不良内容の説明をしたものを一覧表など書いたものにする
  • できれば不良項目ごとを現物を準備してより分かりやすくする

次に、それが発見できる(見える)ように環境を整備します。

いわゆる検査環境の整備になります。

検査環境の整備では、このようなことを実施します。

  • 明るさを調節する
  • 項目ごとに検査方法を決める(45度の角度で覗き込むように見るとか)
  • 決めた検査方法を一覧表に追加する

ここでポイントなのは、不良の明確化や整備といった標準化活動を、管理者の独断で実施してはダメだということです。

何故か?

実際に実行する作業者たる現場の声が反映されていないからです。

現場の声を反映させる目的は、使える標準にしてそれを継続的に実行することです。

使える標準にするためには、現場の生の声を聞き、ムダ・ムラ・ムリが生じないような内容に織り込んでいく必要があります。

但し、管理者として、ここは譲れないというポイントもあると思いますので、そこはしっかりと話し合い共有します。

そうすることで生きた標準化となり継続的に実行されます。

標準化された不良が発見されたとき、異常となります。

2、発生について

発生させないようにするためには、発見した不良を基に未然に防ぐ活動へと結び付けていくことが一般的です。

未然に防ぐためには、4M(人・機械・材料・方法)に対して知恵を使い工夫・カイゼンすることが求められます。

最高なのは

  • 誰がやっても同じものができること
  • そのやりかたや使うものは同じであること

同じ」というところがポイントです。

この「同じ」ということを、誰もが間違いなく判断できる状態を作る必要があります。

その状態から外れる、つまり「いつもと違う状態」という異常が発生しているとなるのです。

「同じ」を4つのM(人・機械・材料・方法)の切り口で考えます。

  • 同じ人:同じスキルを持っている(教育訓練)
  • 同じ機械:いつも安定して動く(設備保全)
  • 同じ材料:いつも安定して入荷される(購買先指導)
  • 同じ方法:方法が明確になっている(標準化)

教育訓練、設備保全、購買先指導、標準化、これらも管理者の独断で行うのではなく、必ず現場の声を反映させ決めていくようにします。

全てにおいて現場の声を反映させることを意識し、生きた異常管理へと進化させてください。

この「同じ」状態で生産しているのにいつもと違うものができる、これが異常となります。

■ポイント3:「止める」が異常発生時の絶対条件!!!

一緒に決めた「検査の標準化」「同じ状態」から外れたとき、つまり異常発生時にはどうするのかも、ここで決めておきます。

基本は、

「止める・呼ぶ・待つ」

です。

現場は止めることを嫌います。

しかし、現場の仕事は「止める」ことです。

何故なら、発生した異常とは、現場の声を踏まえて決めた事です。

決め事を守る、これは現場としてより人として当たり前のこと、そして利益を損失しています。

ですので、

「止める」と言うのは決め事を守るということ

なのです。

現場には止めることが間違ったことではないことを十分に説明し、納得してもらいます。

これが異常管理の大きなポイントです。

止めたら、直ちに上長を呼ぶ、そして待つのです。

呼ばれた上長は、その状況を確認して判断するという仕事が待っています。

上長の仕事は、判断し決断する事。

止めたことを叱るのではないことを十分心得てください。

止めるための基準を作り判断したのは自分、叱るのはお門違い、むしろほめるべきです。

そして、出来るだけ早期に再稼働できるように次の一手を考えるのが上長の役割です。

現場は止めるのが仕事、上長は止めないように配慮・判断・決断するのが仕事です。

■最後に

いかがでしたでしょうか。

不良低減の実施を異常管理の観点から実施する流れを考えました。

現場が勇気をもって止める、それを上長は促すと同時に止めないように判断・決断する。

これが確実に実行されたとき、異常管理を通じて不良低減はどんどんと進む事でしょう。

さぁー貴方の会社や組織も異常管理を通じて不良低減を図り、品質改善をしましょう!!