日常管理に対比する言葉に方針管理があります。
方針管理は、会社や組織の経営目的を達成するための手段として中期・長期経営 計画や年度経営方針を掲げてこれを達成しようとするための活動のことを言いま す。
この観点からすると日常管理は、日常的に実施するべき業務に対して、その業務 目的を効果的に達成するための活動と言えます。
またまた小難しいこと言うな・・・
大丈夫です!!
日常管理の必要性や実践する上でのポイントをご紹介し、日常管理を通じて品質改善ができることを紐解いてまいります。
■日常管理の目的は異常管理
結論を先に言います。
日常管理の原点は職場の異常を管理することです!!
異常管理??
そうです。異常管理がベースとなります。
では、なぜ異常管理が日常管理なのか?
日常管理は、業務目的を効果的に達成するための活動であるとお話ししました。
効果に達成するとはどういうことか?
効率的に作業が流れる状態をイメージされると思います。
つまり、ムダ・ムリ・ムラなくスムーズに流れる状態を維持しようとするのが日常管理です。
この状態を維持しようとしたときに必要なのが異常管理となります。
では、異常管理についてお話し致します。
■異常管理には標準が必須アイテム
端的に異常を定義致します。
異常とは
いつもと違う正常ではない状態のこと
つまり、正常とは何かを明確にして、そこから外れたものを異常とします。
では正常とは何かを考えてみます。
作業を実施するためには「作業手順」「管理基準」といった「決め事」と言われるものがそれに当たります。
「決め事」のことを品質管理では「標準」と言います。
では、ここで正常を定義致します。
正常とは、以下の状態であること
標準(決め事)が守られている
標準(決め事)から外れていない
つまり、
作業標準・作業手順・管理基準などが必要なのは、異常を管理して業務を効率的に運営するためなのです。
■標準を作るための4つの手順
単に作業の流れをフローにするという方法もあるのでしょうが、これでは目的で ある異常管理には届かないと思います。
異常管理を実践するための作業標準にするためには、それなりの考え方と進め方 があります。それを少し説明します。
1. 部門・部署の使命・役割を考える
これは、経営目標を達成するために必要な事を一人一人に割り当てたものです。
製造であれば生産性向上を目標とされていることが多いと思いますが、その 中で各自に割り当てる目標や役割があると思います。それがそうです。
ここが明確でないと先ほど話ししたような単に流れを書いたおもしろくない意味のない標準となりますので注意してください。
また、これを考えるときは、上席が勝手に考えるのではなく、みんな 集まって話し合って決めていくことが大切です。
実際に実践する人間を交えずに決めた役割などは絵に描いた餅です。人材育成や職場風土作りの意味からも、ここを間違えないようにしましょう。
2. その上で業務(プロセス)の明確化
役割分担を明確にした上で、それぞれの業務について、それを実施するための手順をフローとして明確にします。役割分担をされたことで、目的意識が芽生えてきます。
単にフローを作成すればいいのだとならないようにするための布石です。
そして、書き表したプロセスを関係者と共有しましょう。共有することで問題点が新たに見えてきたりします。
ある一つの業務の結果は、また別の業務の為のものであったりすることはよくある話です。
仕事は1話完結や自己完結ではなく、それぞれが有機的につながっています。
一つ一つの業務フローは問題ないけど、次の業務へのつながりには問題があるとなった場合は、その業務フローをぜひ見直してほしいものです。
自分だけが良いのではなく、次の工程につながるようなフローにすること(自工程完結)が重要です。それが効率的に活動するという日常管理の目的をにもつながります。
3.業務フローの標準化
作成し見直した一つ一つの業務フローを標準として策定します。
ここで、すべての業務に対して標準化が必要なのかといえば、そうとも限りません。
こんな場合は策定する必要があると言えます。
- 1. 新たな業務や作業が発生したとこ
- 2. 新たな考え方や方法が見つかって、今後それを使うとき
- 3. 結果が不安定で多くの問題が発生しているとき
- 4. 標準が不足していることが分かったとき
- 5. 他の工程や人などへ引き継ぎが必要となったとこ
作業標準を作成する際のポイントは、それを見ただけで作業の内容やOK/NGの判断基準、安全性を分かりやすく書くことです。
そして、作る目的は、効率的に活動して異常を管理する事です。
ですので、分かりやすく書くことが何よりも重要です。
そのためには、文字だけでなく写真や画像、図なども活用しましょう。
また、標準を確実に守ってもらうためには、教育も大切です。
教育の際は、なぜこの標準があるのか、これを守らなかった時にどんなことが起こるのか、明確に話をしましょう。
教育は、標準の目的や背景を話して守るべき理由を理解してもらうことにあり重要なことです。
そして、定期的或いは不定期にパトロールをして、標準が守られているかを確認します。
上位の管理者が実際に現場に足を運び実施状況を目の当たりにすることが大切です。
第一線のものだけに任せるのではなく、自らの目・足を使って情報を得ましょう。
そして声かけをしましょう。これが職場風土作りにもつながってきます。
もし、標準が守られていないときは、標準を守るように声かけして指導すること が大切です。
ただし、単に守ることだけを指導するのではなく、守られていなかった原因を追究することも忘れずに行います。
なぜなら、そこにはヒューマンエラーにつながる問題が潜んでいるからです。
4.異常の原因追究と再発防止
異常が発生した場合、応急処置を実施した上で、その根本原因の追究を行い(なぜなぜ分析)、原因に対して対策を実施するという再発防止活動を展開します。
また、再発防止に効果があると分かれば、その対策は標準や教育訓練の見直などに反映させ、日常管理のブラッシュアップを図ります。
■異常感度アップに必要なのは雰囲気づくり
異常に気付くのは、そのほとんどが第一線で仕事をしている人です。
しかし、せっかくここで気付いた異常があっても、上司に知らさせることがなけ れば意味がありません。異常に気付いたらすぐに職場の上司に報告できる環境づ くりポイントです。常日頃から、次のようなことへの配慮が肝要です。
職場内でのコミュニケーションを図り、何でも気軽に上司に相談できる雰囲気を作る
その為には上司と部下の信頼関係の構築が必要で、上司からの挨拶・声かけをしましょう。
簡単な事なのですが、つい忘れてしまう、向こうから挨拶してくるのを待つ、そういったことになっているのではないでしょうか。
今からでも遅くありません。
気付いた時がスタートの時、先ずは管理者たる自分から朝の挨拶と声かけを!!
■最後に
日常管理は異常管理、その為に標準を作成して運用することと、職場内のコミュ ニケーションを図ることがポイントであると話ししました。
ごくごく当たり前の流れなのでしょうが、当たり前を当たり前に実践することは 本当に難しい事です。
しかし、ここに書いたベースを知らないで実践することはもっと難しい事だと思います。
この記事が、貴方の気づきとなって日常管理が良い方向シフトし、効果的な品質改善活動につながることを願っています!!